複雑多様化した現代社会で生活する多くの方はストレスを受けています。
ストレスの影響は、不安・うつなどの心理的反応、頭痛・肩凝りなどの身体的反応、飲酒・喫煙・食行動などの生活習慣の変化という行動的反応にあらわれます。ストレスが過剰であったり、うまくストレス解消できないと、種々の精神的・身体的・行動的症状となりかねません。本クリニックではこうした症状を持つ方に寄り添いながら、適切な医療の提供を目指しています。
うつ病は、ひどく気分が落ち込んでしまい、何事にも興味が持てず、日常生活に支障をきたしてしいる状態を言います。この場合、脳に機能障害が起きているので、頭の中は否定的な思考に支配されています(自分は駄目な人間だと思うようになる など)。そのため、普段であればなんでもないことでも、よりつらいと感じるようになって悪循環を招くようになるのです。一日中気分が落ち込んでいる、食欲がない、眠れない、何をしても楽しめないという症状がずっと続いているということであれば、一度当院をご受診されることをお勧めします。なお、うつ病の経験者は若年層と中高年層の2つの年齢層に多くみられるのも特徴です。
うつ病は、神経伝達物質のセロトニンやノルアドレナリンなどの働きが機能しなくなることで発症すると考えられています。また、うつ病は発症しやすい体質か否かが生まれついてあるとされ、何の前触れもなく発病することもありますが、その大半は大きなストレスが加わった後に起きると言われています。
なおうつ病は、心因性、内因性、身体因性の3つに分類され、心因性のうつ病は、精神的な葛藤や心理的なストレスを起因として発症します。内因性のうつ病は、主に体質や遺伝的なことが原因で発症するタイプになります。身体因性のうつ病は、脳や身体の病気(アルツハイマー型認知症、甲状腺機能低下症 など)や副腎皮質ステロイドなどの薬剤の使用が原因で引き起こされるうつ病のことです。
うつ病と診断されたら、まず休養をとることが大切です。しっかり心身をリラックスできる環境が整った後に、薬物療法、精神療法といった治療法が行われます。
薬物療法では、抗うつ薬としてSSRI(選択的セロトニン再取込み阻害薬)やSNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取込み阻害薬)を用います。また症状に合わせ、抗不安薬や睡眠導入剤などを使用することもあります。また、先にも述べたように疲れた心と体をしっかり休める必要があります。休養をしっかりとらないで薬物療法のみの治療法だと、再発するリスクが高くなるので要注意です。
また精神療法は、心理的側面から働きかけることで精神疾患を治療していく方法です。そのなかのひとつでもある認知行動療法は、性格的にストレスなどの影響を受けやすい方に効果が期待できると言われています。これは、物事の考え方やとらえ方(認知)、また問題となっている行動を見つめ直すというものです。これによって自分の陥りやすい思考や感情のパターンに気づくようになって、それを上手くコントロールしていくことで、ストレスを和らげていくというものです。